マグゥ王家の連中暇なの?鍛錬に時間割いた方が有益だよ?
というのも、ダンジョンから出たらいきなり攻撃された。まだ結界解いてないんだけど。
「最初から仕組まれていたのだな?伝説の男だと思っていたのに我らを裏切るとは!」
裏切ってないし。裏切るならもっと地味ーに裏切るよ。そもそもその装備はマグゥ王家の要求通りに魔法付与してんじゃん。
「その証拠に討伐すべきフェンリルを仲間としている!」
うーん従魔になったんだけどなぁ。俺の方がダンチで強いから。超初心者パーティーの連中がビビるからそういうのやめてほしいな。
「俺が一人でマグゥ国王陛下に会うよ。それでいい?」
「元・伝説の男ルーフェスを連行する!」
結界を解いた。
こうして俺は連行された。あぁ、赤猫ちゃんパーティーは息も絶え絶え、ダンジョンの崩れた壁(?)から出てきて、なんか「覚えてろよ!」と去っていった。何を覚えていればいいのだろう?
話は戻すが、何?この弱い連行。他の連中もこんな感じなの?捕縛したならきっちりしないと逃げちゃうよ?
「もっとちゃんと捕縛しないとー。陛下に奏上して兵の鍛錬の強化してもらわないとダメだなぁ。こんなに弱々なのかぁ。期待はずれだな」
「なんだ、お前マゾなのか?」
お前扱いになった。ちょっと前まで『ルーフェス殿』だったのに、変わり身速いよなぁ。
「違うけど、こんな方法だったらいくらでも逃走できちゃう。本気で捕縛しないとー。そもそも、俺を連行してるんだ。俺は大人しくしてるけどさぁ。俺レベルなら本来二重・三重の檻にでも入れて連行すべきだと思うんだ。あ、本人には魔術使えませーんって手錠つけて」
俺は目隠しもされていないし、魔術も使い放題で檻にも入っていない。後手を縄で結ばれてるだけ。でもこれだと、縄抜けができる人ならいくらでも逃走可能。魔術を使えばさらに逃走が楽に!やはり、陛下に奏上すべき問題だよなぁ。うん。
「着いたぞ」
俺は陛下の前に蹴り出された。何も蹴らなくても……。
「ご無沙汰してます。陛下はご機嫌麗しゅうございます」
言いながら、俺は魔術で縄を解いた。
「恐れながら、陛下に申し上げます。この連行方法は非常にしょぼいです。誰の考案ですか?私のような人物を連行するならば、魔術封じの手錠をし、手・足を縛り、猿轡をし、目隠しをし、その上でせめて…せめて、一重の檻に入れるべきだと私は思います。
しかしながら、今回の連行。後手に縄を縛るのみ!お粗末です。実際、さっきその場で自分で縄を解きました」
俺は思いの丈を陛下に告げた。
「あ、そういえば!ダンジョンボスがどうとかは完全なる冤罪です。あのフェンリルは呪いによってあの洞窟から出ることが出来なくなっていました。その呪いを解除したところ向こうから俺の従魔になるという申し出がありまして、従魔になったわけです。
洞窟がダンジョン化したのはフェンリルに引き寄せられてのことだと思います」
「うーむ、お主は実際に既に1匹フェンリルが従魔になっていたからのう」
「ルーフェスの今回の行動は不問とす」
なんかいちゃもんつけるなら、別の国に住むし~。俺が他の国に住むのは国家の損失だろう?
「お言葉ですが、陛下!」
「陛下の言葉に苦情があるなら、俺個人に言ってよ。俺がみっちりきっちり鍛え直すよ?」
どうやら俺の言葉は怖いようだ。笑顔で言ったつもりなんだけどなぁ。ちょっと傷ついたのだけどな。
さ、帰ろう。
王宮の入り口には門番がいて、俺は睨まれた。……扱いが酷いとマグゥ王家からの依頼断ろうかな?って思ってしまう。あぁ、これも陛下に言っておけばよかった。
でもなー、普通に暮らしたかったし。ちょっと難しいかな?でもマグゥ王家からの依頼、2割付与の効果減らそうかな?と思ってしまう。うん、兵自体を鍛えた方がいいしな。国の兵が弱々なのは問題あるし。いや、俺一人で国の兵全体以上の力あるんだけど。それはそれで大問題。
あ、入り口に超初心者パーティーの皆様とリルリル(仔犬バージョン)とフェン(仔犬バージョン)がいる。
「お待たせ~!」
超初心者パーティーのメンバーには「めっちゃ心配したんですよ!」と怒られた。
リルリルとフェンは「まぁ、主ならなんとか脱出するだろうと思ってたから我らは心配なぞしてないぞ!」と言っていたが、尻尾をフリフリして俺の帰還を喜んでくれた。可愛いやつらだ。
「さて、これからは俺がお前らに貸していた武器・防具は返してもらう。……と、いきなり言っても、無理があるから、俺が付与してある魔法を無効化する。今装備している物はただの初心者用の武器や防具になる。今後は鍛錬次第でマジで痛いし、死ぬ。そのことを頭に入れて行動するように!」
そうして俺は超初心者パーティーの連中が装備している武器・防具に付与されている魔法を無力化した。
「「「ありがとうございましたー!!」」」
「自分たちは自分の力を過信せずに精進を続けていきたいと思います!いつの日かあの店の武器とか防具をキャッシュで買えるくらい立派な冒険者になります!!」
「…おう、その前に死ぬなよ~」
こうして俺と超初心者パーティーの連中は別れを告げた。
まじで死なないといいなぁ。あと精進を続けて欲しい。この国のヘッポコ軍隊みたいに鈍らにならないでほしい。
店の方は……かなりの宣伝効果があったようだ。
あの超初心者パーティーが無傷でダンジョンから帰還したことがかなりキーになっているようだ。ついでに俺の名前も一部にはバレた。
うーん、ダンジョン内で壊せない結界張ったり、聖魔法使ったりしたからなぁ。自業自得というんだろうか?
あと、看板犬にはリルリルとフェンの仔犬バージョンが採用された。可愛いから。女性冒険者に大人気!
リルリルとフェンはまんざらでもないリアクションを尻尾がしている。口では「吝(やぶさ)かではない」とか言ってるけど。
さて、この店に置いてある武器・防具は初心者向けのものだけど?
店に来る客からは色々と情報も聞こえてくるもので。(無料)
最近、火龍なるドラゴンが猛威を振るっているらしい。ダンジョンじゃなくて、そこらの村とかにも被害が出ているそうだ。
そこで、俺の店の防具に耐火魔法を付与して欲しいという依頼が殺到。武器にはプラスで氷魔法を付与して欲しいという依頼がくる。
俺の懐がホクホクだ。ドラゴン万歳!
俺が出ていってサクッと終わらせてもいいんだけど、なーんもお金にならないんだよね。むしろ旅費がかかる。
あ、マグゥ王家からも依頼があった。
でもこないだ門番に睨まれたし。魔法の効果は2割減にしておいた。付与効果は目に見えないから、料金はしっかりいただくけれど、効果は保証しない。だいたい、軍隊がへぼすぎる!俺が鍛え直そうか?
「主が出ていくまでもないですよ、その際は私が行きます」というのはフェン。ついこの前までは討伐対象だったのになぁ。立派になって。ホロリとしてしまう。
曰く、リルリルと日々食事にありつくために狩りをしているうちに前よりも強くなったらしい。自己申告なので不明だが、ヘボ軍隊には手加減が必要なくらいだろう。
しばらくしたら、情勢がわかった。俺の魔法を付与した防具でも通用しないらしい。そういうわけで、マグゥ王家では軍隊の撤退を決定したらしい。村は?村民は?
「仕方ないなぁ。俺が行ってくるかぁ。フェンはその間、マグゥ王家の軍隊の根性を鍛え直してくれ」
そういうことで、俺とリルリルは火龍の方へ行った。
国王ともあろう人が国民を残して撤退するとは、恐ろしい判断をしたもんだ。村人がプンプンでビクビクだろう。複雑な心境だなぁ。村を捨てるわけにいかないしね。
俺としては皆仲良くしてほしいんだよなぁ。完全なる上下関係は望まないんだけど…。とりあえずの結果。「うーん、道場破りさんの相手はフェンにしてもらおうかな?」「自分なんかでいいのですか?今回の試合で最下位でしたし……」「それなんだけど、道場破りさんて大体はフェンより弱っちいよ?うちが特殊なんだよ」 そうなんだよなぁ。 付与魔法もあんまりかけないでやろう。自身を研鑽するように。 試合中に自分の愛刀が欠けるとか折れるなんてもってのほか! 愛刀は心を込めて自ら研ぐべし!「物理攻撃しかできないようになっているからいいでしょ?」「私は構いませんが……」「他の皆はホラ、俺って商人じゃん?ショーバイだってしなきゃなんないし?そっちに力入れたいんだよね」「「「「主が商人なのを忘れていました!」」」」 心外だ……。 フェンを破るような気配を感じたら、そっちに行くからさぁ。あと卑怯にも数人がかりで向かっていくとか? 俺が相手をしていた時もいた。 数人まとめてかかってきた。仕方ないので、まとめて国外に飛ばした。 俺だけがあの魔法が使えない結界の中で魔法を使う事ができる。 そんなことで、俺は商人をしながら剣術の保護を目的として道場の経営もしています。
次の組み合わせはどうしよう? 勝ち組同士、負け組同士だったらトーナメント戦みたいだし……。 いっそのこと、勝者対敗者みたいなカードにしようかな? 翌日「第3試合!リルリル対ヤマタノオロチ君!」 フェンリル的にどうなのかなぁ?あと、ヤマタノオロチ君の実力はどんなもんなんだろう?「始め!」 リルリルがいきなり威嚇するように咆哮をした。雄叫びというやつか? あーあ、ヤマタノオロチ君、結構ビビりだからなぁ。でもなぁ、ヤマタノオロチ君てどうやったら倒せるんだろう?フェンみたいに喉元に噛みつくっていってもヤマタノオロチ君の喉元は8つあるし、リルリルどうするんだ?「あー、主。我らの試合は引き分けだな。このまま続けても、俺は物理的に攻撃をしていくだけだけど、どれだけかかるかわからん。1年以上かかるやも…。雄叫びを続けることは可能だが。そういう理由だ」 なるほど、それだとなぁ納得だ。おそらくフェン対ヤマタノオロチ君の試合をしても同じ現象になるのかな?リルリルに聞いた。「恐らく…。そうなるでしょうね」 リルリル +1、ヤマタノオロチ君 +1「第4試合!フェン対俺様火龍!」 うーん、俺様火龍なら喉元に噛みつくことが可能だ。どうなることやら?「始め!」 フェンはまず雄叫びをあげた。ヤマタノオロチ君みたいに硬直してくれたらラッキーみたいな?でもガラスのハート持ちじゃないからなぁ。 案の定、俺様火龍は雄叫びの咆哮を避けた。避けるとか出来るんだな。そして、俺様火龍はブレスをフェンに向けて吐いた。「獣というのはだいたい火に弱いと相場が決まっている」「熱いじゃないか!主、降参だ。こんなのを続けては‘フェンリル焼き’になってしまう」 なにそれ?料理名?とりあえず、炎は嫌だと。「それでも誇り高きフェンリルなのかー!」「うるさいな、外野。明日はじっくり見てやるからな」 フェンは誇りと命を天秤にかけて、命を取ったのか。懸命だけどね…。俺としても‘フェンリル焼き’を治療するのはちょっと…。 ここまでのところ 俺様火龍 +4 フェン +2 リルリル +3 ヤマタノオロチ君 +1 うーん、今後の戦いだけどフェン対ヤマタノオロチ君は引き分けるだろうなぁ。 やっぱり注目は俺様火龍とリルリルかぁ。 リルリルはフェン
俺は宣言通りに会場を元通りに戻した。魔法で。 お金なんか使っていたら、時間もかかるしいくらかかるかわからない怖いなぁ。「さて、第2試合!俺様火龍対ヤマタノオロチ君!」「旦那ぁ、よしてくださいよ。俺なんかが火龍の旦那には勝てませんよ。降参です」「いいの?」「火龍の旦那には絶対に勝てないってわかってるからなぁ。勝てない勝負はしたくない」 打算的と言うか何と言うか…。気持ちはわかるけど、ヤマタノオロチ君もせっかくのチャンスだし、やってやる!みたいな感じになってもいいと思うんだけどなぁ。「そんなに勝てないってわかってるって、昔何かあったの?」「ず―――っと昔にありましたぜ?もう何百年も前かなぁ?あの頃は若気の至りったやつかなぁ?何度も火龍の旦那に挑んでたなぁ。地元では敵なし状態だったから調子に乗ってたんだな。」「俺が封印される前の話か?それなら数千年前じゃないか?」「あ、そうですね。なんせかなり昔の事なので、うろ覚えで……。火龍の旦那には敵わないって事はキッチリと覚えていました!」「そうだな」 初めて会った時に火龍に対していきなりビビられたもんな。正直言って、ヤマタノオロチ君の方が俺は怖かったよ。俺様火龍はなんとも思わなかったかもしれなかったけどさ。 ヤマタノオロチ君は見た目よりもずっとガラスのハート持ちだもんなぁ。*********「まずは『火龍』って言うんだろ?俺の火のブレスでも喰らえ!」 俺様火龍のブレスの火力の方が強かった。「…は、ま…まあ?火しか使えないみたいだし?俺のブレスは8種類あるからな!次はどうだ?水のブレスだ!」 俺様火龍のブレスで全部蒸発してしまった。「次!水より冷た~い。氷のブレスだ!喰らえ!」 俺様火龍のブレスで蒸発してしまった。水のブレスと特に変わりはない。「仕方ないなぁ。これでも喰らえ!風のブレス!かまいたちはよく切れるぞ~!」 俺様火龍のブレスで火が風を起こし、難なくクリア。「これならどうだ?雷のブレスだ!これには故郷のやつらもなかなか苦戦を……」 俺様火龍のブレスで雷の威力を上回った。「フン、まあいい。俺はなぁ、こんなこともできる眠りを誘うブレスだ!どうだ。喰らえ!」 俺様火龍のブレスでヤマタノオロチ君のブレスが分散されてそこらの生き物が眠ってしまった。「……起こしてやれよ」「当然
「えっとぉ、みんなそんなにピリピリしないでよ」「しかし、主。この後、戦うと思うとどうしても……」 そういうもんだろうか?「ルールは勝ちが2点、引き分け1点、負け0点。で従魔の皆の順位を付けちゃうよ~!」「うむ、野生ならば上下関係があって然りだ」「主のみが上でその他は同じだったからな」「これからはそれが変わるのか?楽しみだな」「俺は…火龍の旦那には勝てない」 従魔の皆もいろいろ考えてるんだなぁ。「それじゃあ、早速第1試合!リルリル対フェン!」「あれって、フェンリルだよなぁ」「2匹も存在したのか?」「というか、2匹ともルーフェスの従魔?ルーフェスはどれだけ強いんだ?」「ふむ、主が褒められるのは鼻が高い気がするな」「主に恥じないような試合にしようじゃないか?」 うーん、ナーバスで火花がバチバチ? そんな2匹だったのに……試合が始まると、低レベルな口喧嘩が始まった。「お前なんか仔犬サイズの頃から嫌いだったんだ」「俺は生まれる前からお前が嫌いだったんだ。俺の方が先に嫌いになったんだな?俺の勝ちだ」「何おぅ!俺は前世からお前のことが嫌いだぞ?ホラ俺の方が先だ。俺の勝ちだな?」「なあ?これって世界に名高い気高きフェンリル2匹の試合なんだよな?」「俺もそれは思う所があるけど、見守ろうぜ?」 それは誰もが思う所だけど、見守ろうよ。「フェン!リルリル!口喧嘩じゃなくてちゃんと戦ってね。怪我してもちゃんとあとで治癒魔法かけるから全力で!この会場が壊れても、俺がちゃんと元通りに直すから(魔術で)気にせずにぶつかって!」 「金か?金の力か?」とか聞こえたけど、そんなことにもったいないなぁ。お金使うわけないじゃん。「観客の皆様に申し上げます。これより2匹のフェンリルが全力で戦います。会場が崩壊する恐れがありますので、腕に覚えのない方、興味本位のみで来た方は、命の保証をしかねますのでご了承ください」 会場を元に戻して、なおかつ、会場崩壊に巻き込まれた人の蘇生魔術なんかしていたら、俺が死んでしまう!「リルリルもフェンも頑張って~」 と、俺はのん気に声援を送った。っといけない。今日の俺は公正な審判だったな。キチンと観届けなければな。 リルリルが尻尾でフェンに攻撃!会場の一部が崩壊。 フェンも負けじと尻尾で攻撃!またしても会場の一部が崩壊。
道場には世界各国から猛者がやってきた。‘ルーフェス’という名前につられて。 ルーフェスは殿下に鍛えられたのも一因だが、昔取った杵柄というのか、体が徐々に剣術を思い出し、連戦連勝で道場破りさんを一蹴してしまった。 道場で剣術を学びたいという、奇特(?)な人間もいるもので、そんな方には店での商品を推薦した。(買わせたとも言う) 道場では魔術は禁止しているというのに、道場破りさんには魔術を使ってでも‘ルーフェス’に勝ちたいという輩がいうようで。 予め道場では魔術が使えないように魔術をかけてあるので、ルーフェス以上の魔術師でないとまず破れないであろう。だから無理。 さらに、店とか庭とかに放し飼いになっているリルリルたち従魔の存在が非常に怖いようだ。知らなかった。『可愛い犬とその他』だと思っていた。世間との価値観の相違。 そんなことをしながら今日もルーフェスはショーバイに精を出すのです。 道場破りさん達にも愛刀は自分で研いだ方がいいよ☆とアドバイス。俺も随分丸くなったよなぁ。嗚呼、年齢を感じてしまうけど、やむを得ない。 アドバイスはするけど、道場破りさんと手合わせする時は木刀なんだよね。 間違って殺しちゃったら嫌だし?いやっ、蘇生魔術はするけどアレは疲れるんだよね。 手合わせ後は必ず体力も回復魔法かけてあげてるし。俺優しー。「主は優しすぎます!」「主は優しさで出来ているんじゃ……」 常備薬?「そこまでしなくてもって時あるよなぁ」「向こうは、主を打ちのめす気で来てるのに、結局回復までしてくれて有難うだよなぁ」 従魔達の意見を総合すると、俺は道場破りさん達にもっときつくあたるべきだということだろうか? うーん、でもなぁ。『この道場に来ると死にそうになる』とか噂が流れるのは不本意だ。 ここはひとつ!俺の従魔さんに働いてもらおうか?俺はその間商人に専念できるし! そんなことで従魔さんのトーナメントを開催することを決定した。 4匹いるから準決勝と決勝だけだね。 総当たり戦…。でもいっかぁ。 それじゃあ、また殿下に闘技場をお借りしたいというお願いをして来よう。 道場破りさんはヒトである俺に勝つことを想定してるかもしれないけど、俺は従魔より断然強いから、従魔に勝てないとねぇ? しかも剣術のみで勝てたら相当お強いヒトだと思う。……勝てた
俺は試合が終わって一大決心をしていた。「あのー、ノワール殿下。俺に剣術の稽古をつけてくれませんか?今回は魔術アリだったので、俺が勝ったのです。剣術のみだったら、どうでしょう?俺が危惧しているのは剣術の衰えです。殿下の剣術は素晴らしい。是非殿下に剣術を指南していただきたいのです!」「うーん、愛刀の礼もあるし。いいよ。私の時間が空いてるときに。ルーフェス殿の従魔たちにも会いたいなぁ」「従魔達にも伝えておきます」「私との時間以外は騎士達の所にいると助かる」 それは……騎士達が嫌がるだろうなぁ。しかし、殿下の命ならば……。俺も木刀のみにしよう。剣術を鍛えたいし。従魔達は一匹ずつだな……。あの地獄絵図が頭から離れない……。 その日のうちに従魔達には俺が殿下に剣術指南を頼んだという話をした。「主なら直ぐに剣術も達人になるだろう」と従魔達にお墨付きをもらった。そ・う・す・る・と?俺は晴れて『魔術騎士』というものになれるのか!!なんだか響きがいいな♪気分が上がる。今まではかなり魔術に頼った生活してたもんなぁ。主に付与魔術。はて?剣術って日々の生活にどう役立てるんだろう?包丁はきれいに研げる。しかし、これは剣術ではないだろう。護衛とか?だとどっかのギルドに登録しなきゃならないのだろうか?まぁ、それは追々だな。今から頭の中で捕らぬ狸の皮算用しなくてもいいだろう。ある程度上達したら、殿下に相談しようかな? 「そうだな。剣術は日々の生活には役に立たないなぁ。騎士なら……しかしそれだって護衛対象や賊がいてこそだし。難問を持ってくるとは、流石だなルーフェス殿」 「いやぁ、『魔術剣士』という響きは今はいいのですが、日々の生活ではどう役に立てましょう?と思いまして。魔術でしたら、付与魔術を用いて生計を立てることができます。しかし、剣術となると、どうでしょう?包丁を上手く研げるようになるでしょうね。それだけでしょうか?」 「うむ、私もその点は思う所がある。今よりもずーっと平和な世の中になった場合、剣術はどうなるのだろうか?と。包丁を研いで生計を立ててもよいが、それだけだろうか?と」 やはり殿下をもってしても悩む問題のようだ。ムズカシイ。 「とりあえず現段階では剣術大会として剣術を残そうと思う。同時に研鑽してもらえればとも思う。私は魔術より剣術派だ」 そうか、剣術