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第3話 フェンリルが二匹ですけど、何か?

Author: satomi
last update Last Updated: 2025-07-11 07:16:55

 マグゥ王家の連中暇なの?鍛錬に時間割いた方が有益だよ?

 というのも、ダンジョンから出たらいきなり攻撃された。まだ結界解いてないんだけど。

「最初から仕組まれていたのだな?伝説の男だと思っていたのに我らを裏切るとは!」

 裏切ってないし。裏切るならもっと地味ーに裏切るよ。そもそもその装備はマグゥ王家の要求通りに魔法付与してんじゃん。

「その証拠に討伐すべきフェンリルを仲間としている!」

 うーん従魔になったんだけどなぁ。俺の方がダンチで強いから。超初心者パーティーの連中がビビるからそういうのやめてほしいな。

「俺が一人でマグゥ国王陛下に会うよ。それでいい?」

「元・伝説の男ルーフェスを連行する!」

 結界を解いた。

 こうして俺は連行された。あぁ、赤猫ちゃんパーティーは息も絶え絶え、ダンジョンの崩れた壁(?)から出てきて、なんか「覚えてろよ!」と去っていった。何を覚えていればいいのだろう?

話は戻すが、何?この弱い連行。他の連中もこんな感じなの?捕縛したならきっちりしないと逃げちゃうよ?

「もっとちゃんと捕縛しないとー。陛下に奏上して兵の鍛錬の強化してもらわないとダメだなぁ。こんなに弱々なのかぁ。期待はずれだな」

「なんだ、お前マゾなのか?」

 お前扱いになった。ちょっと前まで『ルーフェス殿』だったのに、変わり身速いよなぁ。

「違うけど、こんな方法だったらいくらでも逃走できちゃう。本気で捕縛しないとー。そもそも、俺を連行してるんだ。俺は大人しくしてるけどさぁ。俺レベルなら本来二重・三重の檻にでも入れて連行すべきだと思うんだ。あ、本人には魔術使えませーんって手錠つけて」

俺は目隠しもされていないし、魔術も使い放題で檻にも入っていない。後手を縄で結ばれてるだけ。でもこれだと、縄抜けができる人ならいくらでも逃走可能。魔術を使えばさらに逃走が楽に!やはり、陛下に奏上すべき問題だよなぁ。うん。

「着いたぞ」

 俺は陛下の前に蹴り出された。何も蹴らなくても……。

「ご無沙汰してます。陛下はご機嫌麗しゅうございます」

 言いながら、俺は魔術で縄を解いた。

「恐れながら、陛下に申し上げます。この連行方法は非常にしょぼいです。誰の考案ですか?私のような人物を連行するならば、魔術封じの手錠をし、手・足を縛り、猿轡をし、目隠しをし、その上でせめて…せめて、一重の檻に入れるべきだと私は思います。

しかしながら、今回の連行。後手に縄を縛るのみ!お粗末です。実際、さっきその場で自分で縄を解きました」

 俺は思いの丈を陛下に告げた。

「あ、そういえば!ダンジョンボスがどうとかは完全なる冤罪です。あのフェンリルは呪いによってあの洞窟から出ることが出来なくなっていました。その呪いを解除したところ向こうから俺の従魔になるという申し出がありまして、従魔になったわけです。

洞窟がダンジョン化したのはフェンリルに引き寄せられてのことだと思います」

「うーむ、お主は実際に既に1匹フェンリルが従魔になっていたからのう」

「ルーフェスの今回の行動は不問とす」

 なんかいちゃもんつけるなら、別の国に住むし~。俺が他の国に住むのは国家の損失だろう?

「お言葉ですが、陛下!」

「陛下の言葉に苦情があるなら、俺個人に言ってよ。俺がみっちりきっちり鍛え直すよ?」

 どうやら俺の言葉は怖いようだ。笑顔で言ったつもりなんだけどなぁ。ちょっと傷ついたのだけどな。

さ、帰ろう。

王宮の入り口には門番がいて、俺は睨まれた。……扱いが酷いとマグゥ王家からの依頼断ろうかな?って思ってしまう。あぁ、これも陛下に言っておけばよかった。

でもなー、普通に暮らしたかったし。ちょっと難しいかな?でもマグゥ王家からの依頼、2割付与の効果減らそうかな?と思ってしまう。うん、兵自体を鍛えた方がいいしな。国の兵が弱々なのは問題あるし。いや、俺一人で国の兵全体以上の力あるんだけど。それはそれで大問題。

あ、入り口に超初心者パーティーの皆様とリルリル(仔犬バージョン)とフェン(仔犬バージョン)がいる。

「お待たせ~!」

超初心者パーティーのメンバーには「めっちゃ心配したんですよ!」と怒られた。

リルリルとフェンは「まぁ、主ならなんとか脱出するだろうと思ってたから我らは心配なぞしてないぞ!」と言っていたが、尻尾をフリフリして俺の帰還を喜んでくれた。可愛いやつらだ。

「さて、これからは俺がお前らに貸していた武器・防具は返してもらう。……と、いきなり言っても、無理があるから、俺が付与してある魔法を無効化する。今装備している物はただの初心者用の武器や防具になる。今後は鍛錬次第でマジで痛いし、死ぬ。そのことを頭に入れて行動するように!」

 そうして俺は超初心者パーティーの連中が装備している武器・防具に付与されている魔法を無力化した。

「「「ありがとうございましたー!!」」」

「自分たちは自分の力を過信せずに精進を続けていきたいと思います!いつの日かあの店の武器とか防具をキャッシュで買えるくらい立派な冒険者になります!!」

「…おう、その前に死ぬなよ~」

こうして俺と超初心者パーティーの連中は別れを告げた。

まじで死なないといいなぁ。あと精進を続けて欲しい。この国のヘッポコ軍隊みたいに鈍らにならないでほしい。

店の方は……かなりの宣伝効果があったようだ。

あの超初心者パーティーが無傷でダンジョンから帰還したことがかなりキーになっているようだ。ついでに俺の名前も一部にはバレた。

うーん、ダンジョン内で壊せない結界張ったり、聖魔法使ったりしたからなぁ。自業自得というんだろうか?

あと、看板犬にはリルリルとフェンの仔犬バージョンが採用された。可愛いから。女性冒険者に大人気!

リルリルとフェンはまんざらでもないリアクションを尻尾がしている。口では「吝(やぶさ)かではない」とか言ってるけど。

さて、この店に置いてある武器・防具は初心者向けのものだけど?

店に来る客からは色々と情報も聞こえてくるもので。(無料)

最近、火龍なるドラゴンが猛威を振るっているらしい。ダンジョンじゃなくて、そこらの村とかにも被害が出ているそうだ。

そこで、俺の店の防具に耐火魔法を付与して欲しいという依頼が殺到。武器にはプラスで氷魔法を付与して欲しいという依頼がくる。

俺の懐がホクホクだ。ドラゴン万歳!

俺が出ていってサクッと終わらせてもいいんだけど、なーんもお金にならないんだよね。むしろ旅費がかかる。

あ、マグゥ王家からも依頼があった。

でもこないだ門番に睨まれたし。魔法の効果は2割減にしておいた。付与効果は目に見えないから、料金はしっかりいただくけれど、効果は保証しない。だいたい、軍隊がへぼすぎる!俺が鍛え直そうか?

「主が出ていくまでもないですよ、その際は私が行きます」というのはフェン。ついこの前までは討伐対象だったのになぁ。立派になって。ホロリとしてしまう。

曰く、リルリルと日々食事にありつくために狩りをしているうちに前よりも強くなったらしい。自己申告なので不明だが、ヘボ軍隊には手加減が必要なくらいだろう。

 しばらくしたら、情勢がわかった。俺の魔法を付与した防具でも通用しないらしい。そういうわけで、マグゥ王家では軍隊の撤退を決定したらしい。村は?村民は?

 「仕方ないなぁ。俺が行ってくるかぁ。フェンはその間、マグゥ王家の軍隊の根性を鍛え直してくれ」

 そういうことで、俺とリルリルは火龍の方へ行った。

 国王ともあろう人が国民を残して撤退するとは、恐ろしい判断をしたもんだ。村人がプンプンでビクビクだろう。複雑な心境だなぁ。村を捨てるわけにいかないしね。

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